ベースが弾きたくなる

球技大会二日目。バスケットも決勝戦が近づくにつれ、更に熱気が増す。優勝候補のチームには、やはりヒーロー的存在がいるもので、その人がボールにボールがまわる度に、あちこちから歓声があがる。男の俺から見てもかっこいい(つーか男の方がかっこいいって思っちゃうもんかな)。その人の彼女は、鼻が高いだろうなぁと思う。
試合中目立つ人をみてみると、全員と言っていいほどみんな彼女持ちだ。その人達の彼女は、自分の彼氏のプレーをどんな気持ちで観ているのだろう。やっぱりかっこいいと思ってみてるだろう。嬉しく思うだろう。
しおりは?しおりは俺のプレーをどんな気持ちで観てるだろう。考えるだけで不安になる。だから、俺はベースが無償に弾きたくなる。ライブのステージ上なら、こいつらよりかっこよく目立てる。それは俺の見栄であり、自信だ。そんな理由で音楽をやるなと言う奴もいるだろう。でも、俺はバンドをやってて本当によかったと思う。これがないと、不安で崩れそうで、彼女なんてできそうにない。だから、俺は今日もベースを弾く。次のライブの日まで。